仕事柄、労災給付について相談を受けることもあるので、今回はその話題です。
今年5月、国会で年金関連法が成立しましたね。
障害年金に係る重要な改正点については、当サイトでもお伝えしました。(→こちら)
当然のことながら、この改正には、ほかにも重要な内容が含まれていました。
その一つが、「遺族厚生年金の男女差別解消」です。
現行では、労働者が死亡した時点で、残されたのが妻であれば一定の年金が支給されますが、残されたのが夫だと、55歳未満は門前払い(受給権自体が発生しない)、55歳以上でも60歳までは自動的に支給停止(いわゆる若年停止)になります。
わかりやすく言うと「男は仕事、女は家庭」ですね。
これを解消しようと、今回の改正で、残された配偶者が60歳以上なら無期限の年金を、60歳未満で子(18歳未満)のいない現役世代なら5年間の有期年金を支給する内容とされました。
施行日は2028年4月1日です。
実は、これとほぼ同じ問題が、労災保険にもあるのですね。
というより、労災保険のほうが「源流」といってよいかもしれません。
歴史的にも、厚生年金保険法は昭和29年に原型がつくられましたが、労災保険法はそれより7年も早く、労働基準法と同時期の昭和22年(1947年)に施行されました。
戦後の日本国憲法の下で、労働者の権利を法律で保護する目的があったからですね。
この労災保険法に、「遺族補償年金」があります。
現行では、労働者が死亡した時点で、一定の遺族に支給されます。そして、残されたのが妻であれば年金が支給されるのに、残されたのが夫だと、55歳未満は対象外、55歳以上でも60歳までは若年停止されます。
なるほど、厚生年金と同じですね。
「男は仕事、女は家庭」ということです。
従って、今回の年金改革により年金制度にひそむ男女差別の解消が図られることは一歩前進ですが、まだ、道半ばであると考えるべきでしょう。
なぜなら、年金制度の底流にある男女差別解消が求められる根拠は、日本国憲法にあり、それは労災保険法も例外ではないからです。
この点、今年7月には厚生労働省の有識者研究会で、性別による支給要件の違いを解消すべきとの中間報告が出されました。
また「遺族補償年金」をめぐって、各地で国を相手取って訴訟が争われていることも背景にあります。
労基署が労災を認定した事案で、残されたのが55歳未満の夫であったが故に、年金が不支給となったようなケースです。(→こちら)
憲法理念にそって、労働者と遺族が本当に必要とする支援を受けられる制度になるよう、今後も注目していきます。

