いわゆる「年金制度改革」法案が、6月13日に国会で衆院の修正を経て成立。
6月20日付で公布されました。(→こちら)
正式名称は「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」だそうです。
厚生年金財源を国民年金給付に流用するのか!と一部で批判されていた法案ですが、その内容については継続検討課題(棚上げ?)に付されたようです。
今回の改正で、盛り込まれた主なポイント
1.社会保険の加入対象の拡大
2.在職老齢年金の見直し
3.遺族年金の見直し
4.保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引上げ
5.その他の見直し
「年金」というと、どうしても「老後の備え」というイメージが強いので、上記の「ポイント」もそのようになっているのですが…
実は、障害年金についても重要な改正が含まれていますよ!
(1)障害基礎年金の「子の加算」の拡充
受給権者により生計を維持している子があるときは、子1人あたり269,600円(に改定率を掛けた額)を加算。
現行は、2人まで224,700円、3人目以降は74,900円(にそれぞれ改定率を掛けた額)なので、特に3人以上の子がいる多子世帯に恩恵が大きい内容といえます。
対象は11.1万人と推計されています。(厚労省)
(2)障害厚生年金に「子の加給年金」を創設
受給権者により生計を維持している子があるときは、上記と同様の加算。
現行は、障害厚生年金に「子の加給年金」はないので、例えば、障害等級3級だと障害厚生年金に全く新しく加給される内容です。
対象は4.3万人と推計されています。(厚労省)
なお、障害基礎年金と障害厚生年金の両方で子に係る加算の要件を満たした場合は、厚生年金を優先して併給調整されるようです。
重複はないということですが、実質的には、基礎年金の加給を厚生年金が肩代わりするという意味合いがあるかもしれませんね。
(3)障害基礎年金、障害厚生年金の「直近1年要件」延長(時限措置)
初診日が令和18年4月1日前の場合は、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料未納期間がなければ、納付要件を満たす。
現行は、令和8年まででしたので、10年(再)延長されました。
原則の納付要件を満たせない方を救済するための大切な規定です。
※それぞれ「その他所要の改正を行う」とされています。
そして、重要な施行日は?
全体は令和8年4月1日からですが、上記の障害年金に係る改正内容は、(3)が公布の日から(即日施行)、(1)と(2)が令和10年4月1日からです!
もちろん、今後の検討課題は、法律の施行後速やかに行うとされていますので、その内容にも引き続き注目していきたいと思います。

