障害年金や労働問題を仕事にしていると、医療機関にカルテ開示請求をするかどうか検討するケースがあります。
原則的には、診断書で足りますが、時々そのような実務がありますので紹介します。

尾崎 彰信(特定社会保険労務士)
私は、社労士として障害年金の請求代理を中心に、必要な方に必要な支援を届けるために取り組んでいます。
『障害ねんきんナビ®』パートナー社労士として北陸3県を担当しています。
※社労士(社会保険労務士)は、障害年金請求手続を代理することが許される国家資格です。

◆障害年金の事例:10年以上前の初診時はパニック障害だったが現在うつ病のケース
精神障害による障害年金では、初診時の病名と、現在の病名が変わることは珍しくありません。
現在うつ病だが、10年以上前の初診時はパニック障害だったというようなケースがありました。
詳しくヒアリングしても、本人の生活状況や病状に大きな変化がないような場合には、どのような内容でパニック障害と診断され、その後、いつからうつ病に変わったのかということが問題になります。
障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月)において、パニック障害だけでなくうつ病の病態もあったことが診療内容から確認できれば、遡及請求(参考リンク)できる可能性もでてきます。
◆労働問題の事例:職場で業務中に脳出血で亡くなった労働者の労災申請を行うようなケース
発症の業務起因性を調査していく過程は半年以上かかることも珍しくなく、数か月前からストレスを訴えて病院を受診していたことが分かったような場合には、そのとき本人が何を訴えていたかを確認しなければなりません。
亡くなられた本人から直接聞くことはできません。
証拠を集めるためには、当時の診療内容に手掛かりがないか調査します。
そこから過重労働の実態が判明すれば、労災認定にむけた重要な証拠になり得ます。
◆実際に「カルテ開示請求」するときのポイント
このように、社労士業務においても、必要に応じて検討しなければならない「カルテ開示請求」ですが、実際にやってみると、次の3点は認識しておいたほうが良いと思われます。
①医療過誤を追求するわけではないことを丁寧に説明する
まず、開示手続を問い合わせると、かなり身構えた対応をされることがあります。
医療過誤を追及されるのでは?!という警戒感もあるのでしょう。
こちらとしても、いらぬ心配をかけないよう事前に問い合わせ、できるだけ丁寧に必要性を説明します。
②代理人では応じない医療機関もある
次に、「代理人ではできない」「本人か家族から連絡してください」と言われることがあります。
代理人によるカルテ開示請求が認められていることは、個人情報保護法に根拠があるのですが。
あまり入り口で争っても仕方ないので、おとなしく従うこともあります。
③費用は千差万別。開示される内容はスミ塗りの場合もある
そして、請求される費用に驚くほどの違いがあります。
医療機関が自由に定めて良いので不当ということはないのですが、約3週間待たされ、診療録コピー3枚とCD-R1枚がレターパックで届いて、2万円以上請求されたことも(汗)…。
一部の資料はスミ塗りでした。
◆まとめ
もちろん、医療機関の本来業務ではないことをお願いしているので無理はいえませんし、障害年金にせよ、労災にせよ、依頼者さんと医療機関(主治医)との関係を悪化させるようなことは、厳に慎まなければなりません。
今後も、依頼者さんと十分に意思疎通しながら、必要に応じて選択していくことになるかな、と思っています。


