厚労省が、6月11日に「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」(→こちら)を公表しました。
概要と詳細版がありましたが、概要には書いてなくて、詳細版に書いてあることをとりあげます。

その一つが、「目安より下位等級に認定され不支給となっているケース」と「目安が2つの等級にまたがるものについて、下位等級に認定され不支給となっているケース」の、それぞれの不支給増加率(令和5年と令和6年の比較)です。
概要では、両方合わせた増加率(44.7%→75.3%)だけですが…
詳細版を見ると、「目安が2つの等級にまたがるものについて、下位等級に認定され不支給となっているケース」は約1.3倍(28.2%→37.6%)なのに、「目安より下位等級に認定され不支給となっているケース」は約2.3倍(16.5%→37.6%)!
つまり、2つの等級にまたがらずに目安を判定できたにもかかわらず、あえて下位の等級に認定したケースが倍増(超)しているんです。
基準(ガイドライン)は何も変わっていないわけですから、運用(人の「総合評価」)が変わったとしか言いようがないですね。
ちなみに、障害年金センターのトップが交代したのは令和5年10月だそうですので、偶然の一致というには出来すぎでしょう…。
二つ目は、職員へのヒアリング内容です。
問題の、センター長からの指示があったかどうかについては、
・ 認定の根拠を明確にすべきといった意図の指摘はあった。
・ 認定医にきちんと説明できるよう精査すべきと言われた。
・ 認定審査委員会の中で、センター長から具体的に調べて判断した方が良いと言われたことはある。
など。
そこに「ソンタク」は無かったでしょうか?
認定業務については、
・ 残業が多く、毎日書類を処理しなければならない。
・ 精神障害グループは、特に業務量が多いと感じる。
・ 難しい判断のために、みんな悩んでいると思う。自分は少なくともそう。責任が重くなっていると思う。今後の請求者の人生に影響してくるものなので。
・ 決定は様々な職員、認定医が確認している。また、サービススタンダードを守るために、量が多くても頑張って対応している。残業も含めて一生懸命頑張ってきた。コントロールしてやろうという考えはない。
・ 不支給にするのは仕事量が増えるので、わざわざ増やすことはしない。単に審査した結果という認識。
など。
現場のマンパワーが疲弊しているのかもしれません。
他にも、書きたいことは山ほどありますが、今回の問題は、私たち国民のセーフティネットである障害年金の根幹にかかわる大きな問題だと受け止めています。
令和6年分だけでなく、おそらく令和5年、4年分も点検することになるでしょう。また是正策が、今後の支給認定にどのように影響してくるのか。
引き続き注目していきます。
当事務所では迅速な需給をめざし、たとえ長期間にわたろうとも、追加費用なしで最後まで全力で取り組むことをお約束します。
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